いつも行く南米の話で恐縮だが、2,3年で通貨が10分の1になるような国でも不思議なことに金持ちはやはり金持ちであることに、その凄さを感じる。日本だってある意味負けていない。貧富の差が最近は大きくなっている。特に福祉や教育の分野での補助がどんどんと切り捨てられ、声を挙げられないほどの人がいる一方で、お金を持て余している人も多い。一生懸命に働くと言っても仕事があればいいが、ない人にとってはその意欲を向ける対象がないのは結局不幸だ。

 海外で一般に乗る電車の他に貧民電車というのがあって、朝と夕方都市近郊から都市に向かって走る。その中でホームレスの若者を見た。いくつものビニル袋を持ち、身にまとっているものは見事にボロボロだった。パンをかじっていたが、不幸そうな顔をしていなかった。むしろ哲学者のような風貌だった。しかもテレビの俳優かと思うほど、ハンサムな若者だった。思わずテレビカメラがあるのかと疑うほどだったが、もちろんそんなものはなかった。ここでは気候がいいから飢えて死ぬ人はいないんです。と現地の人から聞いていたが、食べ物が豊富な国では、常に貧し人には優しい。この国では餓死することはないのであろう。病気になって病院になっても、この国では無料。国は経済破綻しているのにどこまでもやさしい国である。