4月に入りまた一年が始まる。
塾にはいろいろなタイプの子供が来る。
教室に入るなり、もくもくと勉強ができる子がいれば、なかなか始められない子供もいる。大方の子供は給水機から一杯の水を飲んで、飴を口に入れてから始める子が多い。しかし、なかなか教室へ行かずに、受付のテーブルで学習道具を出して動かない子供が案外多い。
机に向かうというのが苦手なのだと思う。居場所論的に考えると、人間はきれいなごみがひとつも落ちていないような所よりも、ちょっと狭く曲がりくねったところのほうが落ち着くのだそうだ。だから近代的なビルの無機質なところにはわざと植木を置いたり、カーブをつけたりして、その中にベンチを置いて隠れ場を作ると聞いたことがある。
そんなときはあえて教室ではなく、受付のテーブルで勉強をやることがある。その方が効率がよいことも多いからだ。しかし、教える方にとっては黒板があるほうがよほどいいと思うのだが、雰囲気作りというのは案外と難しいものだ。こんなことができるのは個人塾だからか、いずれにしても確実に学習内容を理解できて、少しでも成績が伸びてくれることを望みたい。